藤原ははるかむかーし、手がつけられないほどヤンキーでグレていた頃、もちろん仕事はガソリンスタンドに勤めてまして、スタンド仲間と一緒にシャコタンのスカイラインで峠に走りに行ったりしたもんです。
秋田の佐藤くん元気?
で、年末年始は洗車しにくるお客さんが本当に多くて、しかも手間のかかるワックス洗車なんです。
ここで藤原が勤めていたガソンリスタンドでの洗車コースについて説明しますと、一番安いのが「水洗い」で、洗車機に一往復かけて拭き上げるだけ。カンタンです。
次に「ワックス洗車」で、泡が出てきて2往復します。いかにも洗ってまっせー的な感じなのですが、大変なのは車内清掃もセットになってることでして、フロアマットを全て外してマット洗い機にかける。これが結構重くて、腰も曲げなければならないのでしんどい。お客さんの小物を吸わないように気をつけながら掃除機かけて、内窓を濡れたタオルで拭いた後に乾いたタオルで仕上げ。タイヤワックス塗って終了。
次に「水垢落とし」で、ワックス洗車した後にスポンジがグルグル回る機械を手に持って、特殊な洗剤をボディにかけながらこすります。
で、年末年始は営業車も乗用車も、みーんな「ワックス洗車」したがります。
理由は、フロントグリルに正月飾りを付けるからです。
そりゃキレイな車で新年を迎えたいっすよねー。
それで、超忙しいので、洗車機に入れたり出したりする時、AT車は「左足ブレーキ」を使ってました。
これは、右足をアクセル(A)に、左足をブレーキ(B)に載せた状態で運転する技法で、小刻みなアクセルとブレーキの踏み込みが可能なためギクシャクですが数センチ単位での車両移動が可能なので、洗車機に入れる時や、オイル交換する際に作業ブースに駐車する時など、これが出来なくては仕事にならないくらいに便利な技法で、そのガソンリスタンドのスタッフは全員左足ブレーキでした。
なお私有地での長期間の熟練が必要なので、皆様は真似しないでくださいね。
で、私もスタッフもこの技法でアクセルとブレーキの踏み間違いに起因する事故を起こしたことはありません。
人によっては、危険だという方もいますが、かなり慣れた状態ですと逆に安全だと、私は思います。
今でも一時停止が頻繁にあるような細い道の市街地では、飛び出しがあってもすぐに停止できるように左足ブレーキで運転してまして、万が一歩行者や自転車の飛び出しがあっても左足が常にブレーキペダルに乗っているため通常の運転方法ですとアクセルからブレーキへ踏み変えしなくてはならないのですが、その分のタイムラグがないため素早くブレーキできます。ガソンリスタンドでの経験では、特にメルセデスと日産車がABペダルの距離、高さから左足ブレーキがやりやすいです。
で、そんな私も普段の運転では左足ブレーキをしないで普通に運転するのですが、ガソンリスタンド勤務で国産車も輸入車も、ペーシックカーも高級車もレアカーも、およそ路上を走っているクルマはひととおり運転した私が唯一、アクセルとブレーキの踏み間違いをした車が2012年に乗ったこちらの車。
2009年から2015年まで発売された、「30プリウス」と呼ばれる、ZVW30プリウス。
この車両のアクセルペダルは、吊り下げ式と呼ばれる支点が上にあるタイプで、フロントタイヤハウスの関係上からか、少しだけ車両の内側にオフセットした状態であるように思います。(藤原個人の感想です)
吊り下げ式ペダルですと、軽い力で思いっきり踏み込める、ブレーキとアクセルを行ったりきたりするのに楽、ある程度の体格差によるドライピングボジションのズレにも対応できる、などのメリットがあります。
で、この車に乗ってエンジンをかけて、シフトをPからDにレバー操作しようとブレーキを踏み込んだつもりで、なんとアクセルを踏んでしまったんです。
冷間始動時でエンジンが回っている状態で、幸いな事にシフトはPのままでしたから、回転数も上がらず車は停止状態でしたが、かなりビックリしました。
しかも吊り下げ式なので、軽く踏んただけで床まで踏み込んでしまい、もしこれがDレンジだったらと思うとゾーっとしました。
ちゃんとシートを合わせて、正しい運転姿勢で座ったつもりでしたが、その時履いていたのが安物のビジネスシューズだったのもいけなかったかもしれません。
で、今年タイムズカーシェアでマツダのCX-30という車を借りたのですが、この車のアクセルペダルはオルガン式。
オルガン式のアクセルペダルは、支点が床にありまして、踏み込むのに力がいりますが、この車両の場合は正しいドライビングポジションをとってアクセルを踏むと、フロントタイヤハウスの出っ張りが奥にあるため、アクセルペダルを右足が違和感なく踏めるようになっています。
昔聞いた話なのですが、ベンツやBMW、アウディ、ボルボなど欧州の車は思想として人間を信用してなくて、ペダル類はおろかワイパーもウインカーも全ての操作系のタッチが「本当におまえはそれを操作したのか?」と言わんばかりに固く、ちょっと触れたぐらいでは動かせないので誤操作を防いでいると聞いたことがあるのですが、マツダCX-30のオルガン式アクセルペダルもかなり踏み込むのに力がいり、ブレーキペダルのタッチと変えているために発生する明らかな足の裏の感覚の違いから、踏み間違いをすればすぐに気づく利点を感じました。
ディメンションで言えば、30プリウスの全長は4,445mm、マツダCX-30の全長は4,395 mmとほぼ同じ、というかプリウスのほうが長いですから、ホイールハウスの室内侵入はなんとかならなかったのかなあ、とも思ってしまいます。
30プリウスの踏み間違いについては、実際にオーナーでもあるこちらの方の記事がとても理論的に書かれていて、参考になりました。
で、今日の記事の本題なのですが、実は最近の車に付いている電磁スイッチでサイドブレーキをかける電動パーキングブレーキ(EPB)の車両は、暴走中でもスイッチでブレーキがかけられるんです。
その事を知ったのは、この記事。
電動パーキングブレーキが付いていると、アクセルを全開にして加速している場合でも、EPBスイッチを押せば(引けば)ブレーキ・オーバーライド・システムが働いてアクセル操作よりブレーキ操作が優先されるため、速度が落とせるんです。
もしそうなら、完全に停止しなくても、衝突を防げたり、あるいは衝突したとしても被害はかなり小規模で防げますよね。
走行中にパーキングブレーキ、つまりサイドブレーキをかけるのは心理的にかなりハードルがありますが、実際にやってみました。
タイムズカーシェアさんごめんなさい。
で、30km/hくらいで後続車がいない広い道路で、アクセルを踏んだまま実際にEPBスイッチを引っ張ってみました。
すると、チャイム音とともに急ブレーキがかかり、速度がかなり落ちました。
完全に停止する前にEPBスイッチを離したのですが、離すとまたアクセル操作が優先されて加速されます。
もう少し継続してEPBスイッチを引っ張っていれば完全に停止していたでしょう。
または、もし障害物が前にあったとしても、ひどい事故になることにはならなかったと思います。
EPBスイッチは助手席からも操作できる場所にありますから、もしあなたが助手席に乗っていて、ドライバーがアクセルとブレーキを踏み間違えていると気がついたら、すぐにEPBスイッチを引きっぱなしにすれば止まります。
なので、EPBスイッチの位置がどこか確認するのを習慣にするのも良いと思います。
自分が乗っている車両が、他人、特に子供や妊婦さんやお年寄りを轢き殺すのを黙って見ているのは絶対にイヤですよね。
他のメーカーのEPB付き車両でも、どんな挙動なのか実験してみたいと思います。
知っているのと知らないのでは、大違いの知識でした。