今日はちょっと趣向を変えまして、「1980年台のテレビドラマはコインランドリーをどう捉えていたか」なんて話をしたいと思います。
なんと言っても、このブログを始めた理由が「コインランドリーのムダな知識がついて、コインランドリーに行くのが楽しくなる記事を書きたいな」なので、あながち間違ってないかなあなんて感じです。
東京都渋谷区本町6-7-5にある「コインランドリー太陽」は、1979年から1980年に日本テレビ系列で放送されたテレビドラマ「探偵物語」(1979年・セントラルアーツ)第5話「夜汽車で来たあいつ」のロケ地として有名なコインランドリー。
福井から夜汽車に乗って東京にいる妹を探しにきた田村(演:水谷豊)。工藤(演:松田優作)とイレズミ者(演: 野瀬哲男)やトルコ嬢、受験生たちがコインランドリーで洗濯しているところに田村が入ってきて、はじめて工藤と出会うシーンが撮影されたのが、このコインランドリーです。
工藤は自動販売機の缶コーヒーを飲みながら紙袋に入れてきた洗濯物を乾燥機に無造作に放り込んでこう言います。
「砂漠のような東京でもね、乾燥機に100円玉入れないとパンツが乾かないんだよ」
当時は流行の最先端だった自販機の缶コーヒー、トルコ嬢、ヤクザ、受験生。
福井から寝台特急、今で言う夜行バスに乗って来た田村が東京で最初に見た光景、それこそが大都会東京がギュッと凝縮された、ダイバーシティな人々が集まるにぎやかなコインランドリー。
おそらく制作側はコインランドリーを都会を象徴する記号として選んだに違いないと思います。
なんとなく、私がどうしてコインランドリーが好きなのか、という理由もここらへんにあるのかなあ、つまり田舎者の都会への憧れの具現なんじゃないだろうか、なんて思ったりしました。
ところで野暮な事を書けば、工藤はこの「コインランドリー太陽」に歩いて来ているのですが、工藤探偵事務所のロケ地は皆様ご存知のとおり千代田区の神田須田町にあった同和病院ですから2時間ちかくかけて歩いてきたことになります。ベスパでも30分くらい。でもルートはほとんど靖国通りをまっすぐなので、もしかしからわざわざ遠くても通っていた超お気に入りのコインランドリーだったかもしれません。
なお設定では工藤探偵事務所は千代田区平河町にあることになっていて、田村は福井に帰った後工藤に出した手紙にその旨が書いてあります。
それから関係ないと思いますが、このコインランドリーのすぐ近くに太田プロの寮があったそうです。(現在は取り壊されて普通のマンション)